• 音楽的に弾くってどういうこと…?

    よくレッスンで先生達がいう、「もっと音楽的に!」とか、「もっと歌って!」の意味は、具体的にどういうことなのでしょう。私は子供の頃、先生に言われた通り歌って弾きたいけどどうしたら良いか分からなくて大変苦労しました。レッスンでは具体的にお話するよう気をつけていますが、言葉で伝えるのは結構難しいことなのかも知れません。

    『音楽的』とは、それぞれの音に抑揚があり、表情がある状態で、反対に全ての音が同じ大きさで同じ質だと『非音楽的、機械的』と言えると思います。とっても綺麗な音色で f(フォルテ)のところはとてもパワフルに、p(ピアノ)のところはとても繊細に弾けたとしても、それぞれの細かいフレーズが単一な印象だと、どうしても先生からは「もっと歌って!」の指示が飛んでくるでしょう。

    「もっと歌って!」を無理やりもっと詳しく細かい言葉で言い換えるならば「歌を歌っている人が表現するのと同じようにピアノの音でも弾いて!」という感じでしょうか。

    歌には必ず息継ぎがあり、歌だからこそ(拍子の通りにはいかない)時間が必要な場面があり、自然に歌うならば抑揚はこうなる、というのがあります。そして歌の場合は歌詞、言葉がありますよね。言葉の中にはぜひ相手に伝えたい大事なものもあれば、接続詞のように文章をつないでいく意味のものもあります。これらの役割の違う言葉に、さらにイントネーションもあります。プロを目指す学生が留学したらその国の言語を学んだ方がよいと言われる理由に、イントネーションや会話のフレーズを知り、それを音楽に生かす意味があるからで、そのくらい言葉と音楽には深いつながりがあります。

    結局、自分の音楽とはなんでしょう?

    私が出した答えのうちの一つに、自分の音楽=自分が声に出して歌うときの歌い方とも言えると思っています。もちろん歌い方の他にも、その人しか出せない音質だったり、その人しか作れない雰囲気、その楽器ならではのクリエイティブなセンスなどいろいろありますが、音楽的に弾くことに悩んでいる人は、まず歌を歌うことと、ピアノを弾くことを結びつける取り組みをおすすめします。

    人によって息継ぎをする場所、必要な時間の取り方、抑揚の付け方は違います。でも、息継ぎと手、指がシンクロすれば、聞いている人々にも共感を得られる音楽になってくるのではないでしょうか。私自身もレッスンで「息をして弾きましょうね〜」とお話することもありますし、音楽的に弾くための第一段階としてはとてもとても大切なことです!

    メロディーラインに注目してスラーがどこからどこまで書かれているかよく見て、息つぎをしながら弾いてみましょう。そして、たくさんのプロの歌を聴いたり、ピアノの先生にも弾いてもらったりして、イメージの引き出しをたくさん作ってください♪